臨床試験情報
先天性腎性尿崩症の方およびそのご家族の方へ
この研究の対象者に該当する可能性がある方で、診療情報等を研究目的に利用または提出されることを希望されない場合は2025年6月30日までに先天性尿崩症で通院中のまたは通院していた医療機関の主治医の先生にお申し出ください。 研究への協力を希望しない場合でも不利益は生じません。
研究課題
先天性腎性尿崩症の全国調査
(審査番号:2023351NI-(1))
研究機関名及び本学の研究責任者氏名
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
主任研究機関 東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科
研究責任者 槙田 紀子(腎臓・内分泌内科 准教授)
担当業務 研究統括・データ収集および解析・論文執筆
共同研究機関
施設研究責任者:国立大学法人東海国立大学機構・名古屋大学・大学院医学系研究科 教授有馬 寛 調査協力、助言、論文へのアドバイス
施設研究責任者:東京医科歯科大学 理事 内田 信一 調査協力、助言、論文へのアドバイス
施設研究責任者:藤田医科大学・医学部 教授 水野 晴夫 調査協力、助言、論文へのアドバイス
施設研究責任者:長崎大学・大学院医歯薬学総合研究科 准教授 伊達木 澄人 調査協力、助言、論文へのアドバイス
施設研究責任者:島根大学医学部小児科学教室 准教授 鞁嶋有紀 調査協力、助言、論文へのアドバイス
研究期間
承認日~2028年12月31日
対象となる方
先天性腎性尿崩症と診断を受けたことがあり、通院中の方または以前に通院歴のある方
研究意義
先天性の腎性尿崩症は稀な疾患で、頻度は、カナダのケベックでは男性100万人に8.8人、オランダでは1600万人で50家系であり、日本では約400人程度と考えられています。先天性の腎性尿崩症の90%はバソプレシン受容体のサブタイプ2(V2受容体)の遺伝子の変異で起きます。V2受容体の変異による腎性尿崩症は伴性劣性遺伝で、ほとんどの変異では完全に機能を喪失し、無治療かつ腎機能が正常であれば1日10L以上の尿がでます。
先天性腎性尿崩症はいまだに特異的な(病気の原因に対処できる)治療法がなく、神経発達、成長、腎機能障害を含む腎臓や尿路の問題を起こします。先天性腎性尿崩症に対して有効な新しい薬剤の開発が期待されています。一方で、日本での先天性腎性尿崩症の実態調査は2014年の報告がありますが、伝統的に行われている治療法や治療効果の実態についても明らかでないところが多いのが現状です。
2015年7月1日より先天性腎性尿崩症が指定難病となったため、日本における診断や治療について情報が集積されつつあります。さらには2020年4月よりAVPR2遺伝子(先天性腎性尿崩症の原因となる遺伝子の一つ)の解析が保険収載となり、日本でのAVPR2遺伝子の病的バリアント(病気を引き起こす遺伝子変異)についても情報が蓄積しつつあり、今後の治療法の改善に役立つことが期待できます。
日本での現状を理解することで、今後の診断・治療の改善につながると考えています。
研究の目的
先天性腎性尿崩症は稀な疾患であり、日本での先天性腎性尿崩症の診断・治療・合併症・遺伝学的検査の現状について調査します。現状を調査して理解することで、今後の診断・治療・合併症管理の改善につなげていきたいと考えています。
V2受容体のバリアント情報(遺伝子変異)から症状の強さや将来の先天性腎性尿崩症に対して特異的な治療薬の候補の効果を予測できれば、個々人に適切な治療法を提供できる基礎的な情報となる可能性があります。そのため、遺伝学的情報をご提供いただければ、重症度を含めた臨床情報とバリアント情報(遺伝子変化)とその遺伝子変化による症状の強さや薬剤への反応の情報を蓄積することで、将来的にはバリアント情報(遺伝子変異)から最適な治療法を予測する可能性を確認したいと考えています(データ二次利用による別の研究)。
研究の方法
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
これまでのカルテ情報に基づいて回答されたアンケート調査の情報(家族歴・社会歴・診断年齢・診断時の症状や徴候・現在の症状や徴候・治療法・治療の効果・へ依存症・合併症・遺伝学的検査の結果)を用いて行う研究です。特に患者さんに新たにご負担いただくことはありません。
医師を対象とした一次調査で先天性腎性尿崩症の診療経験とアンケートへの協力の可否について確認します。
その後に、公開した本文書に基づいて、先天性腎性尿崩症の患者さんのアンケート調査への協力について、『協力したくない』という申し出が、診療を提供している/していた医療機関に対してない場合には、二次調査のアンケートに医師が回答します。
二次調査では、先天性腎性尿崩症の患者さんの臨床情報(家族歴・社会歴・診断年齢・診断時の症状や徴候・現在の症状や徴候・治療法・治療の効果・へ依存症・合併症・遺伝学的検査の結果)を情報として取得します。
情報の二次利用について
先天性腎性尿崩症の患者さんの臨床情報、バリアント情報(遺伝子変異)を用いて、薬剤に対する反応性を確認します。
また、先天性腎性尿崩症の患者さんの臨床情報、バリアント情報(遺伝子変異)と薬剤への反応性を統合的に解析し、新しい遺伝子変異の影響を予測することを目指します。
これらの目的で、本研究で得られたデータの内、下記の項目について二次利用を行います。データの二次利用は倫理指針を遵守して行います。これらの研究を行う際には、研究実施前に東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科の公式websiteで情報公開を行います。
・臨床情報(主に疾患の重症度)
・遺伝学的検査結果(バリアントの情報)
その他の研究にデータを二次利用する場合には、倫理指針を遵守し、倫理委員会で審査を受けて承認を得たのちに、データの二次利用を行います。
個人情報の保護
この研究で収集する情報は、直接個人を特定できる情報を含みませんが、先天性腎性尿崩症が希少疾患であることから、臨床情報から個人を特定できる可能性があります。
そのため、この研究に関わって収集される情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、特に慎重に取り扱う必要があります。
研究責任者・管理責任者である槙田紀子はそのデータを移譲され、研究責任者・管理責任者のみが使用できるパスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。
この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は、先天性腎性尿崩症で通院中または通院していた医療機関の主治医に2024年6月30日までにご連絡ください。ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせて頂きます。
研究結果は、個人が特定出来ない形式で、学会等で発表されます。収集したデータは厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。5年間経過したのちに、再現できない形で破棄します。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
この研究に関する費用は、研究代表者の槙田紀子の研究費(厚生労働科学研究費補助金)から支出されます。
この研究について開示すべき利益相反はありません。
尚、あなたへの謝金はございません。
2025年3月
連絡・お問い合わせ先
東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 准教授 槙田紀子
住所:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-3815-5411(内線 37224) FAX:03-5800-9818
Eメールでのお問い合わせ:norimaki-tky”AT”umin.ac.jp
※E-mailは上記アドレス”AT”の部分を@に変えてください。
医療機関名 東京大学医学部附属病院
診療科名 腎臓・内分泌内科 診療科責任者名 南学正臣