臨床試験情報
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科にて「後天性低カルシウム尿性高カルシウム血症(AHH)/自己免疫性副甲状腺機能低下症(AH)と考えられる患者の病態の解析と病因の解明」の研究に参加された方へおよびそのご家族の方へ
当院では高カルシウム血症/低カルシウム血症の原因として、後天性低カルシウム尿性高カルシウム血症/自己免疫性副甲状腺機能低下症の診断と治療、また疾患メカニズムの探求を行っております。
この研究の対象者に該当する可能性がある方で、診療情報等を研究目的に利用または提出されることを希望されない場合や研究への協力を希望されない場合、あるいは協力を途中でおやめになりたい場合は2022年5月5日までに末尾に記載の問い合わせ先までご連絡ください。
【研究課題】
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科にて「後天性低カルシウム尿性高カルシウム血症(AHH)/自己免疫性副甲状腺機能低下症(AH)と考えられる患者の病態の解析と病因の解明」の研究に参加された方へおよびそのご家族の方へ(G2021358G)
【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】
この研究が行われる本学における研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
研究機関 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科
研究責任者 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 准教授 槙田紀子
担当業務 データ収集・匿名化:生物統計情報学講座 特任教授 小出大介 データ解析:槙田紀子
【共同研究機関】
長岡赤十字病院 山崎肇 部長
担当業務 参加者への説明と同意取得、試料・情報の提供
一宮市立市民病院 恒川卓 部長
担当業務 参加者への説明と同意取得、試料・情報の提供
一宮市立市民病院 山口麻里子 副医長
担当業務 参加者への説明と同意取得、試料・情報の提供
【業務委託先】
①業務委託先 かずさDNA研究所
担当業務 カルシウム感知受容体シグナル関連遺伝子(CASR、GNA11、AP2S1、GCM2遺伝子)の遺伝子配列を確認するパネル検査
②業務委託先 HLA研究所
担当業務 HLAのタイピング
この研究に利用する試料、資料・情報は共同研究機関及び委託機関の範囲のみで利用されます。
【研究期間】
承認日~2026年10月31日
【対象となる方】
2005年5月6日 ~ 2021年10月29日の間に当院腎臓・内分泌内科で、後天性低カルシウム尿性高カルシウム血症/自己免疫性副甲状腺機能低下症と診断された方。
【研究目的・意義】
低カルシウム尿性高カルシウム血症とは
高カルシウム血症は、悪性腫瘍に伴うものをはじめ、さまざまな原因によって生じることがわかっています。軽度であれ無症状ですが、高度になると意識障害、腎不全に至ることがあり、原因の如何にかかわらず、すみやかな対処が求められます。
高カルシウム血症の原因の1つとして、低カルシウム尿性高カルシウム血症が挙げられます。これまでは、低カルシウム尿性高カルシウム血症は「家族性」と考えられ、遺伝子の異常が原因とされてきました。実際に、家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症の約2/3の患者さまにカルシウム感受性受容体遺伝子のヘテロ(2つの染色体のうちの1つ)の異常があることされています。それ以外にも、カルシウム感知受容体シグナルに関連する遺伝子のヘテロの異常が報告されています。一方、まれですが、低カルシウム尿性高カルシウム血症は「後天性」もあり、その原因として、患者さまの血清中にカルシウム感受性受容体に対する自己抗体が関与している可能性が報告されています。
副甲状腺機能低下症とは
副甲状腺機能が低下すると低カルシウム血症をきたし、重度になると意識障害、不整脈など致死的になりえます。これまで、手術摘出に伴う術後副甲状腺機能低下症と家族性副甲状腺機能低下症を除いて多くの副甲状腺機能低下症が原因不明の「特発性」とされていました。しかしわたしたちは、特発性副甲状腺機能低下症の患者さまの中には、自己免疫(カルシウム感受性受容体に対する自己抗体)が関与している方が潜在的にいらっしゃるのではないか、と考えています。この場合、治療として副腎皮質ホルモンによる抗体産生の抑制が有効と考えられます。
遺伝子とは
「遺伝子」とは、人間の身体を作る設計図にあたるものです。人間の身体は、約60兆個の細胞からなっていますが、遺伝子は、細胞一個一個の中の「核」という部分に入っています。人間の身体は、この遺伝子の指令に基づいて成長、維持されており、多くの病気はこの遺伝子と、生活の仕方等の環境要因の両方の影響からおこると言われています。 本研究では、「家族性」であることを否定することと、後天性低カルシウム尿性高カルシウム血症/自己免疫性副甲状腺機能低下症になりやすい体質を探索する目的で、あなたの血液から「遺伝子」を抽出して解析します。
【研究の方法】
あなたは、以前にあなたからいただいた血液を用いた研究で、後天性低カルシウム尿性、CM2など)の遺伝子検査を行います。この病気になりやすい体質として、自己免疫疾患との関連が報告されているHLA(ヒト白血球抗原)の関与の可能性を探索します。具体的には、匿名化をした上で、以前あなたからいただき、研究責任者の研究室に保存されている血液の一部を外部検査機関(かずさDNA研究所・HLA研究所)に送り、検査を依頼します。それらの結果と、診療録に記録されている年齢や性別や既往歴、家族歴、居住地(都道府県)、血液検査や尿検査結果、画像検査などの情報に基づいて行う研究です。特に研究対象者の皆さんに新たにご負担いただくことはありません。予定患者さんは、11人です。
なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。
【個人情報の保護】
この研究に関わって収集される試料や資料・情報等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
収集した試料や情報は、解析する前に診療ID、居住地などの個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにします(このことを匿名化といいます)。匿名化した上で、鍵のかかる冷凍庫、研究責任者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコン、鍵のかかるロッカーで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることができます。
あなたの人体試料やゲノム情報、診療情報は、当診療科において管理責任者である槙田紀子が、個人情報管理担当者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコン(電子情報)、鍵のかかるロッカー(紙媒体)で厳重に保管します。
この研究のためにご自分(あるいはご家族)の試料やゲノム情報、診療情報を使用してほしくない場合は、下記の問い合わせ先に2022年5月5日までにご連絡ください。研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。
ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせていただきます。
研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌で公表します。
収集した試料や情報・ゲノムデータ、診療情報は厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。保管期間終了後には、収集した試料や資料・情報等は、取得された試料においてはオートクレーブ処理、情報においては紙で保存されている場合はシュレッダー処理、電子データで保存されている場合はデータを削除することで廃棄します。なお研究データを統計データとしてまとめたものについては、お問い合わせがあれば論文などで公開後に開示いたしますので下記までご連絡ください。
本研究の結果として知的財産権等が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの特許権等を持ちません。また、その知的財産権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
この研究に関する費用は、東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科槙田紀子の科学研究費(基盤C 19K08996)と奨学寄附金から支出されています。本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。
2022年4月
【問い合わせ先】
研究責任者:槙田紀子
連絡担当者:槙田紀子
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科
電話: 03-3815-5411(内線37224)
e-mail:norimakitky:gmail.com.
URL:www.todai-jinnai.com/